作品紹介 〜多様な書の世界〜

結成以来、本会では会員それぞれが常に古典に立脚した現代書のあり方を探求し、研鑽に励みながら多様な作品を生み出し続けています。
主催する玄潮会書展や会全体で参画する毎日書道展など、各展覧会で発表される作品は主に「漢字」「仮名」「少字数書」に大別されます。歴代の会長・理事長の作品を通して3部門の書についてご紹介します。

漢字の書

いま、漢字の書には読んで味わうだけでなく見て味わい楽しむための「視覚性」が求めらています。
本会では、視覚に強く働きかける線性、造形のあり方を探求しています。

《弄花香満》木村蒼岳

《疾風迅雷》石原太流

仮名の書

仮名は和歌の発展とともに創り出された日本独自な書の世界です。かすかな墨いろの変化、繊細・流動する書線、それらによって生み出される余白の美を特質とします。
漢字の書とはまた異なった書美を探求しています。

《さまざまの事 思ひ出す桜かな》
徳野恵美子

《朴の芽》室岡節子

少字数書

書の近代化によって隆興した新しい分野です。
玄潮会創設者の徳野大空は、戦後書壇において師の手島右卿先生とともにこの分野を開拓し、高い評価を受けました。現代に順応した芸術としての書の到達点です。そこにはより高い視覚性が要求されます。

《徳心》寺井朴堂

《無倦》真嶋雄山

《晨》桑山大道

《窓》黒澤春来

《蓮》西島東観

《澄観》小板橋東崖

玄潮会書展とは

毎年2月に上野の東京都美術館で開催される本会主催の公募展覧会です。
全国各地から多数の作品が寄せられ、優秀作品に対しては文部科学大臣賞・玄潮会大賞・東京都知事賞をはじめとする各賞が授与されます。本会会員はもちろん、公募部門は18歳以上であれば誰でも出品することが可能です。
日本中から力作の応募をお待ちしておりますので、興味のある方は是非とも事務局へお問い合わせください。

第36回展文部科学大臣賞
《翼》旭谷朗抱

第34回展文部科学大臣賞
《受義》石原太流

第41回展文部科学大臣賞
《臨風》岩田明倫

文部科学大臣賞について

本会が長年にわたり初動の啓蒙と普及に貢献してきたことが高く評価され、第33回展より玄潮会書展の最優秀作品に対して文部科学大臣賞が授与されています

第38回展文部科学大臣賞《轟》上原修陽

徳野大空の作品

《慎》1970年

《靜無聲》1967年

《感》1967年

《日月》1958年